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未来なんて不確かなもので、その未来の約束をするなんて、もっと不確かで。
だけど、その約束で、ほんの一時でも君を縛ることが出来るなら。
歌舞伎町の向こうに紛れようとする親友を呼び止めた。
肩越しに振り返った親友に、一つ約束を取り付ける。
「明日、僕の家に泊まってね」
藪から棒の言葉に、京一は眉根を寄せる。
それは決して機嫌を損ねた訳ではなく、急な発言の真意を掴み損ねたからだろう。
龍麻は微笑んで親友の顔を見つめ、もう一度同じ言葉を繰り返す。
「明日、僕の家に泊まってね」
一言一句変わらぬ言葉。
京一は益々いぶかしんで見せたが、断る理由も思いつかないからだろう。
しばらくの沈黙の後、がりがりと頭を掻いてから、
「いいぜ」
「うん」
承諾と了解の言葉は、たったの三文字、二文字で終わる。
今度こそ京一が完全に背を向けたのを、龍麻は今度は呼び止めず、追うこともしなかった。
呼ばれなければ京一が振り返ることはなく、踵を返して戻って来ることもない。
原色のネオンの向こうに消える背中に、龍麻は見えていないと判って、手を振った。
そのまま、京一の背中は見えなくなるだろうと思っていた、のだけれど。
ふと、京一の足が止まって、半身で振り返る。
それを見た龍麻は、何か忘れ物があっただろうかと考えた。
考えたが、思いつくものはない。
立ち止まった答えを知る京一は、またがりがりと頭を掻いてから、
「明日な」
「―――――うん」
確認するように告げられたのに、龍麻ははっきり頷いた。
京一もそれを見て、ひらりと手を振ってまた背を向け、歩き出す。
不確かな未来。
だけどどうか、明日も一緒に。
大好きな君と、一緒に。
そんな約束。
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“じゃあまたな”をもっと明確な形に。
明日は“明日”が終わるまで、ずっと一緒にいられるように。