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7月7日、七夕。
葵の家で星見をしようと言う話になった。
参加メンバーはいつもの鬼退治部だ。
唯一、京一は面倒臭いからパスと言ったのだが、遠野のゴリ押しにあって半ば強制参加。
放課後、約束の集合時間までに各自時間を潰す事になり、いつものように歌舞伎町へと赴く彼の背中は、若干憂鬱そうだったが――――無理に来なくても良いよとは誰も言わないのであった。
言ったら言ったで、今更ドタキャンもどうだよと言って参加するのだろうし。
そして約束通り、集合時間きっかりに、京一を含めた鬼退治部全員が美里家に集まった。
葵の自室に一番近い客間を利用させて貰い、縁側に並んで座るのは、葵、小蒔、遠野の三人。
明かりを消した部屋の中から、三人の後姿と星空を眺めるのは、龍麻、京一、醍醐であった。
「今日は鬼もいなくて幸いだったな」
「だな」
「うん。良かった」
醍醐の言葉に京一と龍麻も頷く。
そうでなければ、こんなにものんびりした一夜は過ごせなかっただろう。
また鬼だけではなく、天気も良かったのも嬉しい。
お陰で空で瞬く満点の星がよく見える。
美里の屋敷は高台にある為、ビルの人工灯も見えず、空は本当に星だけの世界となっていた。
「あ、ホラホラ、あれが彦星よ!」
「え~、何処の星? ボク全然判んないよ」
「夏の大三角形を探したら判るわ。白鳥座と、ワシ座になる部分がそれぞれ彦星と織姫で…」
「だからァ、それも判んないんだって。どれがどの形になるの?」
剥れる小蒔に、葵が指差し教えるが、小蒔はそれも読み取れない。
先ず星の見方からして判らないのだから、仕方がない。
どうやって教えたら判るだろうと頭を捻る葵に、龍麻達は顔を見合わせて苦笑する。
「オレもまるで判んねェな」
「俺もだ」
「僕は判るよ。ちょっとだけ」
「へェ」
京一は感心したように声を漏らしたが、じゃあどれがどれかとは聞いて来なかった。
聞いても小蒔と同じように判らないのを自覚しているからだ。
醍醐も同じく。
「星座なんかまるで判らないが……それでも、これは見事な星だとは思うな」
まだ星座について話をしている女子に苦笑して。
視線を星空へと移して、醍醐が呟いた。
都内にいると人口の光がどうしても自然の光を隠してしまうけれど。
こうして改めて見た星空は、やはり人口灯とは違う強さを持っていて、暗闇の世界を淡く照らす。
その色は、一粒一粒は小さくても、確かに星々が息づいているのだと感じさせた。
一粒一粒の光が小さいのは、人間も――――自分達も同じだ。
それを思うと、遠く宙(そら)の彼方で輝く星が、随分と身近なもののように感じられるから不思議なものだ。
「あーッ! 今、今流れ星あった!」
「ウソ!? 何処何処!?」
「もう消えちゃったんじゃない?」
「え~ッ!」
「あたしお願い事してなーい!」
俄かに騒がしくなった女子陣。
それを眺めながら、男子はまた顔を見合わせて苦笑した。
「情緒がねェなァ」
「京一、その言葉ちゃんと意味判ってる?」
「ケンカ売ってんのかコラァ!」
「いたたたた」
京一のヘッドロックに捕まって、龍麻が眉尻を下げながら笑う。
縁側だけでなく、部屋の中まで騒がしくなって。
やはりこのメンバーで静かに星見は無理だったなと、醍醐は思うのだった。
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鬼退治部はちょっと騒がしいくらいが丁度良いと思います。
しかし中身のない話だな(爆)。