例えば過ぎる時間をただ一時でも止められたら。 忍者ブログ
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猫京 02




どちらかと言えば――――と言わずとも、京一の運動神経は良い方だ。
子猫であるが故に、見ている側が「何故そんな事を?」と言いたくなる様な突飛な行動や手段はあるものの、基本的には普通の猫並に身のこなしは上手い。

だが、やはり子供であるからだろうか。
突拍子もない事でバランスを崩してしまう事もある訳で。







「――――――うぷッ」







昼食の準備の最中、リビングからどてっと音がしたので、八剣が振り返ってみれば、床に突っ伏した子猫。
その足元には、先程まで昼寝真っ最中であった京一が枕代わりにしていた、折り畳んだ座布団がある。

ああ、躓いたのかと八剣が気付くまで、然程時間はかからなかった。






「京ちゃん、大丈夫かい?」
「………………何が」






心配の声をかけてみれば、そんな言葉が返って来た。
思わぬ反応に八剣は、一回二回と瞬きする。


京一は突っ伏したまま起き上がらない。
見た所では顔面から倒れたように見えたから、顔でも打ったのかと、八剣は益々心配になる。
しかし先刻の声は至っていつも通りで、痛みを堪えている風でもなかった。

京一の尻尾を見てみると、基本的にはじっとしているものの、先端だけがピクピクと動いている。
これは苛立っている時に見られる傾向だ。






「京ちゃん」






手に持っていた包丁を置いて、キッチンからリビングに戻ろうとする。
と、その気配を感じ取ったかのように、京一はひょっこり起き上がった。

京一は立ち上がると、拗ねたように唇を尖らせ、






「………逃げた」
「何が?」






京一の言葉の意味が判らずに問い返すと、京一は益々唇を尖らせて、






「……虫」
「虫? …防虫剤が切れたかな」
「…………」






八剣の言葉に、そうなんじゃねェの、と京一は呟いて、ぷいっとそっぽを向く。
その顔はほんのりと赤くなっており、尻尾は先端だけがピクピクと動いていた。
まだイライラしているらしい。



そんなにも京一は虫に関心を持っていただろうか。
ちょこまかとすばしこく動くものを追いかけるのは、猫と言う生き物の本能と性質上、好きだとは思う。
しかし、かと言って見つけた瞬間に跳び付くほどの執着はなかったと思う。

ついでに言うなら、八剣の部屋には殆ど虫は侵入して来ない。
室内は常に清潔に保っているし、窓やドアの近くは防虫剤があるし、増して油虫の類など以ての外だ。


と言う事で、室内を見渡してみるが、やはり京一が言ったような虫の気配は見受けられず。






「いたんだぞ」






頭を掻いた八剣に、京一が言った。

見下ろせば、じぃと見上げてくる大きな瞳とぶつかる。
その顔はやっぱり赤く、尻尾は先端だけがピクピクと動いて。






「虫」
「ああ」
「いたんだぞ」
「ああ」
「ホントだぞ」






誰も嘘だとは言っていない――――そう思ってから、八剣は気付いた。






「そうだね」






くしゃりと頭を撫でると、子猫はぶんぶんと頭を振ってそれを払ってしまった。
そんな京一に苦笑して、八剣は床に置きっ放しになっていた枕代わりの座布団を拾うと、ベッドに放る。






「お昼ご飯、すぐ出来るからね」






座布団の代わりに、ベッドに鎮座していた人形を差し出す。
京一は、ぷくーっと頬を膨らませはしたものの、結局は人形を受け取るのだった。








====================================

mixiアプリの“おしゃべミックる”で、うちのミックるが「転んだのを必死で隠しています」てな事をしていたので……つい。
妄想してたら、こんな感じになりました。特に中身のない話ですみませんι

人形は拍手でも書いた、壬生お手製の八剣人形です。なんだかんだでお気に入り。

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龍京 07







「龍麻ァ」







酔っているかのような。
そんな調子の声で名を呼ばれて、龍麻はノートから顔を上げた。


京一は白塗りの壁に背を預けて天井を仰いでいた。
彼の足元には漫画が数冊転がっており、どれも中途半端なページのままで開かれている。
読んでは飽きて放り出し、また新しい本を取り出してと繰り返した結果だ。

それ以外は、脱ぎ捨てた制服や木刀があるだけで、アルコール類は存在しない。
だから、彼が酔っている、と言う事はない筈だ。






「なー、龍麻ァ」






けれども、繰り返して相棒の名を呼ぶ京一は、酔っていると言った方が自然に見える。


ゆっくりとした動作で壁から背を離すと、京一は這って龍麻の座す傍まで近付く。
長い前髪で目元が隠れて、龍麻から彼の表情は伺えない。

が、眼前までくると、またゆっくりと顔を上げて────笑みを浮かべて京一は言った。






「セックスしよーぜ」






遊びに行こうぜ、と言うような気安さだ。
事実、京一にとってはどちらも同じような感覚なのかも知れない。


沈黙したまま、龍麻は京一の顔を見詰めていた。
京一は口角を上げて双眸を細め、薄らと笑みを浮かべている。

面白い玩具を見つけた、そう言っているようにも見えた。



京一は龍麻の返事を待つ気もないらしく、龍麻のパーカーシャツに手をかける。
丹田の位置から、生地の上から撫でるように体のラインをなぞり、胸を滑って、肩まで上る。
龍麻は無抵抗、無表情でそれを甘受していた。

肩から鎖骨へと指先でくすぐった後、京一は龍麻の襟元を乱暴に掴んで引き寄せた。
ぶつかるように唇が重なる。






「ん……ん、……」






くちゅ、と。
小さな小さなその音は、静寂が支配していた部屋の中に限っては、意外に存在感が大きい。


咥内に侵入してきた熱の生き物を、龍麻は暫くの間、好きにさせていた。
絡められ、吸われても、何をするでも、応えるでもなく。
ただ彼の思うがままに。

京一はキスの虜囚になったかのように、夢中で口付けを繰り返している。
目を閉じて食い荒らすように龍麻の唇を貪る様は、餌に食い付く獣そのものだ。






「んぁ…ふッ、…ちゅ…んん……」






離れては吸い付き、吸い付いては離れて。
何度も何度も。

このままだと唇が腫れてしまうんじゃないかと、龍麻はぼんやりと考えていた。


京一の手が下肢へと伸びたのに気付いても、龍麻は表情を変えなかった。
火照り始めた京一の顔を、間近でじっと見詰めている。






「んはッ……ぅん……」






器用に龍麻のスラックスのベルトを外し、京一はその中へと手を差し込んだ。
トランクスの上から中心部を確認すると、そのまま手の平で包み込む。
上下に扱かれて、初めて龍麻の肩が揺れた。

それは口付けに夢中になっていた京一も気付いたようで、薄らと瞼を持ち上げると、瞳の奥でくすりと笑う気配。


唇が離れて、久しぶりの新鮮な酸素が肺へと流れ込んで行く。






「お前も溜まるンだな」






意外そうな口調で言いながら、彼の表情は仄暗さが否めない。

自分が今どんな表情をしているのか、どうしてそんな顔をしているのか、恐らく彼は判っている。
そして面白がっているのだ、こんな自分を前にして、相棒がどんな行動に出るのかと言う事を。


下肢への刺激を続けながら、京一は間近にある相棒の顔を見詰める。
龍麻の表情があれから動く事は無く、此方もじっと親友の顔を見詰めているだけだ。






「なァ、しようぜ」
「セックス?」
「他に何があんだよ」
「勉強とか」
「ンなもん犬に食わせてろ」






クスクスと笑う京一。
対して、龍麻は無表情。






「どうせよォ、このままってのは辛いだろ?」
「京一がしたんじゃないか」
「だな。で、どうする? 一人で空しくシコってるか?」






散々誘って煽っておいて、此処で選択肢の掲示。



今なら戻れる。
この下らないお遊戯から。

けれど二度と遊べない。


遊ぶのならば逃げられなくなる。
そのまま深い深い汚泥まで、堕ちて死ぬまで、きっと一生。



どちらが正解と言うものは、きっとこの問いには存在し得ない。
普通ならば戻る道を選ぶだろうが、それを選ぶには目の前の存在の中毒性は既に全身を支配している。
これを失ったら頭が可笑しくなってしまう、そう思ってしまう位、危険な程に。

遊ぶ事を選んだならば、一生この気紛れな猫に執心して焦がれて死ぬであろう未来が待っている。
その間にどんな風に猫と遊ぶのかと言われると、これは龍麻の勝手な推測だが、“えげつない”事だろうと言う事は、容易に考えられた。






「たつま」






耳元で猫が鳴いた。
吐息がかかる。


肩を抱き寄せて、龍麻の方からキスをする。
その時、微かに香のようなものが京一の肌から感じられたような気がした。

距離が近いのはさっきと同じ筈なのに、ずっとゼロ距離でいるようなものなのに、何故だろうか。
龍麻の方から触れた途端に、京一のものではない気配が滲んでいるような気がしてならない。
思い込み────ではない。






「……京一」
「んー?」






名前を呼んでみれば、鼻にかかったような声で返事。
龍麻はずっと表情を変えない。






「昨日、何処で寝てたの?」






野暮な話だ。
碌でもない話だ。

そして下らない話。


京一の顔が綺麗に視界に収まると、彼は笑った。
眦を細め、濡れた唇の隙間から舌を覗かせて、哂った。




龍麻の脳裏に浮かんだのは、緋色を纏った一人の男。
京一にとっては、大の苦手だと公言している筈の男。

多分、それで間違いじゃない。


京一は判っている。
その気配を纏っていれば、龍麻が黙ってはいられない事を。
龍麻も十分自覚をしていて、京一が何を考えているかも判る。

判るけれど、それに逆らう術を龍麻は知らない。





顎を捉えて口付けて、そのまま畳の上に押し倒した。
乱暴に京一のシャツをたくし上げ、下肢のベルトを外すと、下着ごと擦り下ろす。

露にされた彼の中心部は、既に固く反り返っていた。


そんな有り様を突きつけられても、京一は哂っていた。
面白くて仕方がない、そんな風に。







………まるで発情した猫みたいだ。

だからこんな風にして、あちらこちらで遊び相手を探すのだろう。
動物の本能と衝動に身を任せて。




自由な猫は、首輪も鈴もつけずにふらりふらりと遊び回る。

見えない鎖を引き摺りながら。









====================================

荒んだ京一書いちゃった。
この京一で三角関係書きたい。……裏必至!!

龍麻は基本的に、京一がどんな風に病んでても荒んでても、そのまま受け入れます。
八剣は……受け入れた上で、京一が立ち直るように優しくするか、益々酷くさせるか……どっちかだな。今の所は前者が多いけど、後者も書きたい。

記念





Congratulations" is said to the last turn
2008年京一誕生日。龍京。
最初に言いたかったのに。

The present is ......
2008年京一誕生日。八京。
子猫を保護しました。

This is one how to celebrate
2008年京一誕生日。オールキャラ。
沢山のおめでとうと、ありがとう。

Be here....
2009年京一誕生日。龍京。
何かしてあげたいから、全部してあげる。

There is a signature that is here with you
2009年京一誕生日。八京。
罪悪感と、安堵感と。






落書き置き場


京一/龍京/八京//漫画/イベント/るろ剣(停止)



京一

----------------------------------------
試し描き 携帯
京一初描き。

青空世界 携帯
拍手で書いた小説からイメージ。

夏祭り 携帯
京一(幼年)。遠い日の思い出。

我慢 携帯
京一。18禁。きっと歯を食い縛る。

反抗的 携帯
京一。18禁。かけられた。

非従順 携帯
京一。18禁。またかけられた。

祭り半被 携帯
チビ京一。地元が神輿祭りだったので。

レインドロップ 携帯
[こどものじかん]のチビ京一。葉っぱの傘。

キボウノタネ 携帯(横向)
[こどものじかん]。未来は希望で溢れてる。

瓦礫の街 携帯(横向)
小さな希望と青い空。

崩壊の街 携帯(横向)
壊れた世界の紅い空。



龍京

----------------------------------------
スキンシップ 携帯(横向)
龍京。仲良し。

ちょっと待て 携帯
龍京。諦め悪いのです。

用具倉庫 携帯(横向)
龍京。13禁。流され気味。



八京
----------------------------------------
混濁した意識 携帯(横向)
初八京。京一弱ってます。

姫抱き 携帯
練習絵。

声を殺して 携帯
13禁。向き合わない。

全てを君に捧げよう 携帯
跪いて。

気紛れな君 携帯(横向)
束の間、穏やかな刻。




----------------------------------------
囚われる 携帯
龍治×京一。雁字搦めにしてしまえ。



漫画
----------------------------------------
どっちが好き? 携帯
龍→京。雑漫画。

言葉遊び 携帯
龍京漫画。4月1日ネタ。2頁。

素直になれない 携帯
八京漫画。4月1日ネタ。3頁。

past, present, and.... 携帯
お盆。京一&真神メンバー。11頁。



イベント
----------------------------------------
弐零零捌 携帯
京一。正月絵。竜頭獅子です。

20000HIT御礼 壱 (携帯)
[summer memory]より、ちびっ子二人の夏祭り。

20000HIT御礼 弐 (携帯)
八京。花と着物と凶器。

Happy birthday, Our dear kitten (携帯)
2009年京一誕生日記念。独自設定有。

花に嵐 (携帯)
30000HIT御礼。和装京一。

Trick or Treat (携帯)
2009年ハロウィーン。お菓子だらけ。

クリスマス・プレゼント (携帯)
2009年クリスマス。ラッピング。



るろうに剣心
----------------------------------------
仔さの落書き 携帯
初書き仔さの。

夏のある日の風景 携帯(横向)
子克&仔さの






クリスマス・プレゼント(携帯)







クリスマスと言う訳で、京一をプレゼント。
本人は思いっきり不本意そうですが(爆)。
リボンでぐるぐる巻きが描きたかったのです。

ネームの段階ではもっとブスッとして「バカじゃねェの」と言い出しそうな顔してました。
ラフ画にする段階で、「さすがにこの顔は駄目か……」と思い直して整え整え。
……結果、こんな感じになりました。


このプレゼントは誰の所へ行ったんでしょうね。何処にいっても受難だと思うけど(爆)