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いずれは、この手を離さなければならなかったのだから。
泣きそうな顔で、不安そうに見上げてくる子供を、抱き締めてやりたかった。
だけれどそうしたら、無理にでも連れて行きたくなるから、止めた。
いい機会だと、思ったと言ったら、この子は泣くだろうか。
本当の意味を教えなかったら、きっと誤解してしまうに違いない。
でも、その方が良いのかも知れない。
この子は、自分に傾き過ぎているから。
「相楽隊長……」
預けた刀から解放された手が、心許ないように彷徨った。
その手を掴みたくて、でも引きずり込んではいけないから、自制する。
子供はそれさえ振り切って、幼い手を掴んで引っ張って欲しいのだろうけれど。
子供がどんなに自分に傾倒したとて、許される範囲には限りがある。
そして自分がどんなに子供の事を許したとて、それにはいつか限界が来る。
幼い手を引いていられるのは、幼いうちだけだと判っている。
でも子供は幼いから、そんな事は知らない。
いつまでもその手を繋いでいられるのだと、信じて疑うことはない。
誰に何を言われたとしても。
だから離す事が出来る内に、解放してやらなければならなかった。
けれど、過ごす刻が増えて行く度、繋いだ手を放したくないと思ってしまう。
このままずっと手を繋いで、時間が止まれば良いとさえ。
―――――それほど、この子の手はとても心地の良いものだったから。
「大丈夫」
「…………」
子供はいつか大人になって、大人の庇護から解放される刻が来る。
その時になってまで、この手を繋いでいては駄目だ。
だから、いい機会だと思った。
だってこれ以上一緒にいたら、引きずり込んでしまいたくなる。
子供の未来を潰してでも、同じ場所に堕としてしまいたくなるから。
まだ、それに自制が効く程には、後戻り出来るから。
「心配するな」
いつか。
いつか。
子供がいつか、大人になって。
庇護が必要でなくなっても、この手をもしも繋いだままでいたとしたら。
きっと誰かに引き離されてしまう日が来るだろうから。
その前に、手を離そうか。
お前の未来がまだ、透明なままでいる今の内に。
いつか、何も知らぬ誰かに無情に引き裂かれてしまうくらいなら。
私の手で、お前を此処から解放しよう。
これじゃ隊長エゴイスト……(汗)
てゆか、隊長書くたびに性格が違う…?