例えば過ぎる時間をただ一時でも止められたら。 忍者ブログ
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第六夜【聖夜は微笑まない】



アニ魔人の世界はクリスマスのようです。
《外法編》で最後に出ていた車椅子の男の子が出てきました。
うーん、秋月じゃなかったか……って事は村雨とかも出てこないんだなぁ。ちょっと残念。

シーン変わってイっちゃった人たちが登場。
この辺は完全に斜め見してます。だって京一も龍麻も出てこないんだもん。
でもバリバリ複線ですね。
男の腕に映った奇妙な手形の痣(みたいなもの)とか。携帯電話握り締めてるとか。



カットがまた変わって、母と公衆電話で話をしている龍麻。

……どうでも良い話、結構アニ魔人の世界では携帯電話は普通に普及してるようなのに、なして龍京二人は持ってないんだろーか。
京一は家に帰ってないから、仮に持ってたとしても止められてるとかで使えそうにない気もしますが(笑)。
龍麻は両親に遠慮したのかなぁ。

龍麻のお母さん、龍麻の友達のことえらい気に入ってくれたみたいだな。
あのお母さん可愛いなぁ……v

龍麻の補習は最早お決まりになってるみたいだな(笑)。
編入試験の点数はトップクラスだったつーのに……京一とつるんでるからー(愛)vv

受話器を元に戻そうとして、落としてしまう龍麻。
これは、禍王須に反応したのかな?
でもなんでもなさそうだったので、構わず受話器を元に戻します。



バスの中のお父さんとお母さんの会話が可愛いv
前に送った苺は、やっぱ皆で食べたのね。
10分でなくなったのか……育ち盛りの高校生はよく食うねぇ。

父の個展のチラシを皆に配ってる龍麻、いちいち「ハイ」って言ってるのが可愛いです。
嬉しいのね、やっぱり。京一もちゃんと受け取りましたv じーっと見てたけど「…よく判んねぇな…」とか思ってんのが関の山かと(笑)。
醍醐の考えにも笑う。「これは…筑前煮を盛るのに最適!」って、アニメの醍醐の思考回路って可愛いなぁ。

でもって、マリィ登場。めっちゃ渋い顔してる京一……
龍麻、やっぱマリィに懐かれたか…
つーか、前回から何処にいたんだろうなぁ、マリィ。龍麻の家に転がり込んでるとか、この勢いならありそうだな。葵のところではないだろう…。
京一が妬くよ、龍麻!

マリィに厳しく当たる京一。
まぁ、《外法編》では敵だったし。
アニメの京一の性格考えたら…というか、普通の反応だろうな、コレは。




場面変わって【天龍院高等学校】。
……ゲームはこの辺りどうなってたっけか? こんな名前の学校あったかな……

車椅子の少年が登場。
普通の人に混じってバスケって…すげーな、この人
。結構明るい性格で、皆からも好かれてるようですが……バリバリ複線だなー、この辺り。



また場面が変わって桜ヶ丘中央病院。
看板拭きをしている嵯峨野ですが……此処って、病院の何処…? 横道?
病院のカットはいつも俯瞰で全体図だったからなぁ…画面奥に建物があるのが不思議でならん(汗)。

其処に、以前嵯峨野を苛めていた人物達がやって来る。
もう自分は大丈夫だと思っても、やっぱり怖いよね、こういう連中に逢うの……。

病院内で患者が暴れ出し、岩山先生と舞子が梃子摺ってます。
「盥回しにしていないで、とっととうちに連れてくりゃ…」って岩山先生が言ってますが、この病院が霊的治療もしてくれるって、どれぐらい知られてんのかなぁ…。
ゲームに至っちゃ、片方は産婦人科だったし。普段は結構寂れてるみたいだし。
その筋では有名って感じなのか。



複線バリバリでシーンは変わって、女の子組。
龍麻の母にプレゼントをする事に。


でもって京一と醍醐は、マリィをコニーさんに押し付け(笑)。
マリィの思い込みっつーか、おませさんっつーか……いやもう、可愛いな、この子。
呆然としてるコニーさんに笑いました。
そういや、コニーさんがひきつ星(字が判んねぇよ!)の一人だって、京一達は知ってんのかな?
拳武編の後で聞いたのかな。でないとマリィ預けられないよなー。

「火力はどのバーナーよりも」って京一が皮肉気味に言うのに対して、醍醐が笑顔で押し付けてくのがなんとも……
アンタ、真面目なのにその変ざっくりしてんのね…

そういや、京一と醍醐が二人でいるのって、アニメ始まって以来これが初めてなんじゃ……
京一はいつも龍麻の横だったしねー。
この二人って中学時代からの付き合いなんだよな。なんだか不思議な感じがします。



バス乗り場に向かう途中の龍麻、事故に遭いかけたリュウジを助ける。
感謝を言いつつ、時折リュウジの声に暗い色が灯るのが今後を示唆してますね。



バス乗り場で両親に不審な男が接触。
疑わないのは、人が好いからか……こんな人達をこのヤローはッッ(怒)!!

龍麻は会場前に到着。そわそわして、やっぱり楽しみだったんだな……
雪だるまを作るのを思いついて、嬉しそうな笑顔が…繰り返して見ると、此処のシーンが痛々しい…

人気の無い路地で、ようやく違和感に気付くご両親。
田舎から出てきた人ってこういう感じなのかな。
いや、どっちにしてもこの野郎が悪いんだけども!!

雪の中で待ち続けている龍麻が……
三つ並んだ雪だるまは、両親と自分をイメージしたんだろうな。
もう直ぐこうやって三人並べる筈だったのに……





CM挟んで、雪に降られ続けている龍麻。
もう個展が始まってるんだったら…どれぐらいこうしてたのかなぁ。
雪だるまも埋もれちゃって……




御厨が登場し、龍麻は警察へ。
母の遺体に触れようとして止めたのは、怖かったのかな……
温かかった母が冷たくなったのを確認するのは、そりゃ嫌だよね…

犯人逮捕されたと聞いて、すっ飛んでいく龍麻。
相手がイっちゃってようとなんだろうと、大事なものを奪われたら、殴りたくもなるさ。
キレてゆっくり歩み寄っていく龍麻が…怒りの程を見たような気がします。

男は発狂したまま死んで、龍麻は一発も殴ってなくて……
行き場の無い怒りが、この後龍麻をフラフラと彷徨わせたのかな。
にしても、この状況だと龍麻がこの男を殺したようにも見えるけど(他の奴等は気を失ってたし)…情状酌量って事もあるけど…あーでも御厨はずっと怪事件を追ってるし、殴った痕も首占めた痕もないのは調べたら判るだろうなぁ。
でも一発でも殴らなきゃ龍麻は気が済まなかったんじゃないかと思う。
あれだけ怒った顔見たのは初めてだったよ…



警察署の前で京一と醍醐、小薪と葵もやって来る。

龍麻のことも心配だけど、自分の両親や家族が何より心配、という小薪は、ホントに普通の女の子な感じがします。
今後誰が、と思うとね……

「やめろ!」って京一が言ったのは、どんな気持ちがあったんだろう。
不安を口にすると本当になりそうだから、とか。
自分も判ってて飲み込んできた事だったとか。
改めて誰かの口でそれを再認識させられるのは辛いだろうしなぁ。




龍麻が警察署から出てきて、最初に声をかけたのは京一。

……すんません、真面目なシーンだけど「よっしゃぁああ!」とか思いました(爆死)。
だってこういう時、皆なんて声かけていいか判んないと思うのよ。
でもって最初に誰が声をかけるかなって…葵が寄り添おうとして押し退けた瞬間、どーも葵が苦手なモンで…よかったーとか思ってしまった……

一人で何処かに行こうとする龍麻を京一が追っかけて、ああOPの探し回るシーンは此処なのかなーと思いました。

でもって葵は押し退けたのに、京一相手だと其処までしないんだな、龍麻……
振り払うんじゃなくて、解かせた感じがします。
龍麻の異変に気付いて力が緩んだ隙に、って感じで。

そのまま去って行く龍麻を呆然と見送る京一。
振り払われたのは初めてだったんじゃないかなぁ、京一って。
肩組んだりとかのスキンシップは多かったと思います。
色んな意味で此処はショックだっただろうな。




アン子の部屋には、チラシと龍麻のお母さんへのプレゼント。
クッション抱えて泣いてます。

龍山、道心にも連絡が入って、悔しげに床を殴る道心。
龍麻を預けて、面倒見てもらった人達だもんな。悔しいわ悲しいわ…
その裏で誰かが(柳生にしろ、そうでないにしろ)手を引いてるって言うのも判るだろうし。二重で悔しいだろうな…




カラオケボックスで盛り上がる人たちと、リュウジ。
いや、もう、怖いわこの子……今後どういう風に龍麻に近付いていくのか…






如月骨董品店に集まったメンバーの中、龍麻と京一がいません。
京一、連絡もつかないそうです。
嵯峨野の真面目な話が始まるのですが、ワタクシ、頭の中は京一で一杯です。


やっぱ龍麻を探しに行ったんだろうなーと思ってたら、やっぱり行ってました! バイク一人で乗って!!

以前は吾妻橋をアッシーにしてた京一ですが、今回は自分で運転してます。
吾妻橋を頼れる事態ではないとは思ったのでしょうが、それならそれで、なんで以前も一人で運転しなかったのか……
話が進んでる間に自動車学校行ったのか? 自分で運転できれば、わざわざ吾妻橋に頼む事もないし、その方が手っ取り早いし。

龍麻がいないと、いてもたってもいられないのかー。愛だなーv


バイクで突っ切っていく京一が格好良いです。




何処かのクラブみたいな所で、禍王須を探して荒れる龍麻。
そのまま殺すかと思った……!!

京一が現れて、荒れる龍麻に「そんなに戦いてェのか」。
この後の「邪魔するな」「嫌だね。邪魔してやる」って遣り取り、好きです。
余分な会話一切無し。


葵が乱入して、ケンカは中断。
うーん……思う存分殴りあった後なら、龍麻もちょっとは落ち着いてたかも知れないのに……

突き飛ばされた葵に慌てて京一が駆け寄った時、龍麻がショック受けたような顔してた気が……
京一に責められて、耐え切れない顔で駆け出したりとか。
あれは、葵を突き飛ばしたことへのショックなのか、それとも駆け寄った京一へか。
やっぱ嫉妬!?(フィルターが外れないッ)






この後、京一は龍麻を探して東京中を走り回るのでしょうか。だったら嬉しい。

話を聞いていない京一は、禍王須云々よりも、まず龍麻の事しか考えてないだろうし。
今のまま何処に行くのか判らない龍麻を放っちゃ置けないだろうし。

要所要所で葵がヒロインしてますが、それは完全スルーで(爆)。
それよりも龍麻のことしか考えてない、追い駆けてばっかの京一の方が私にとっては真のヒロインッ!



木刀じゃなく、拳で殴りあうのを選んだ京一に愛を感じます(違うだろ)。
普段から拳法を使う龍麻に、剣が自分の獲物の京一が敵うかっていうと、到底無理だと私は思います。
幾ら京一が不良で色んな連中とケンカしてても、得手としてるのは木刀で、拳じゃないし。

でも、殴る。
勝つつもりはなくても、下手したら……危なかったと思うなぁ……


んでまた、どうやって場所を突き止めたんだろうね、京一…。
色んなトコに色んな知り合いがいそうだから、伝辿ったのかな。ああいう場所なら、行き着きそうだし。




龍麻がフードを被る時って、周りを遮断する時なのか? 今回、後半はずっとフード被ってたしなー……







あー……この後龍麻はどうすんだ…そして京一、追いつけるのか!?

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2nd,OP【Player】






ちょっと待ってくれ完全龍京じゃねぇかァァアァァァ!!!!!






今回で《宿星編》に突入とゆー訳で、OPが変わりました。


最初の映像が荒廃しゆく東京、崩壊した東京をイメージしたそうで。
最後のカットで龍麻と京一が見ていた景色が、主にそんなだったそうです。

《拳武編》は人々の交わりかなぁ……
四神の他、龍麻達が関わってきた人々のカットが入ってたし。
アン子、ごっくんクラブ、吾妻橋、嵯峨野、舞子……だったかな。六道もいたっけか。



さて《宿星編》に入って、OPの歌も変わって、益々新章突入という感じな訳ですけども。






…………すっげー龍京……!!






前回のOPのメロディは出だしから荒廃した感じがありましたが、今度のイントロは長調なのに寂しい感じがします。


水没した東京。その向こうに青空。
雪の降る街をふらふらと彷徨う龍麻。消えたり映ったり、稀薄な存在。それを追い駆けてくる京一。かなり走ってきたらしく、肩で呼吸。見失って少しの間佇み、影(気配)を感じてまた顔を上げる。
明かりのない暗い階段を下りていく龍麻。存在が塵になって消えて行く。
舞散る花びら。枯れた桜の下、左から醍醐、小薪、京一、美里、如月。京一だけが座り込んでいる。
花びらが蝶の形に集まり、闇色の天へ昇る。

幼年からの龍麻の連続カット。幼年期、幼少期、修行時代、転校、京一との衝突。日常の龍麻。カメラ目線で柔らかく笑う。
仲間達の写真、中心に京一と龍麻の2ショット。

炎の背景から浮かび上がる、リュウジ。雪の降る中、遠ざかり消える龍麻の両親。
暗闇の中で苦しみ悶える人物(誰だか判りません(滝汗))。頭を抱え苦しみ、殻を破るように巨大な生き物に変生。泳ぐように水面を模した天へ。


ガラス片のように光る雪。壁に血、背を向けて立ち尽くす龍麻。
十字架の立ち並ぶ地、背中を向けて佇む葵。空は青。
カメラを見つめるアン子。

緋色に光る天を仰ぐ如月、寂しげな表情。
緋色の背景、睨むアラン。
緋色の空を背景に、背に羽を輝かせるマリィ。

傷付いた拳を握り締める醍醐。
青空を背に、手を差し出す小薪。
泣き叫ぶ葵。
僅かに振り返り、寂しそうに笑みを透く京一。空は青。


草原、空に降り頻る宿星。その中心にいる龍麻。
走ってくる京一。何かに気付き、目を瞠り立ち止まる。何かを叫ぶ京一。
暗闇の中、淡く浮かび上がる桜の下に佇む影と、立ち尽くす京一の背中。風が吹き、また走り出す京一。
舞散る桜、龍麻のアップ。振り返り、儚げに微笑む。
走る京一、俯瞰で急速に遠退いていく。

咲き誇る桜と、舞散る花びら。欠けた月。





………カット追い駆け実況中継になってしまった。


いやだってもうアレさぁ……! 最後に全部持っていかれたんだって、ホント……!!
龍京スキーとしてアレはッ、あれはもうッッ!!


前回までのOPと同様、《宿星編》のネタバレ要素ふんだんに盛り込んでありますが、このまんまで行くと龍麻とさよなら……ってな事にはならないよねッ!?

京一は最初から最後までずっと龍麻を追い駆けてました。
普通、こういうのってヒロイン役のする事なんだろなー…と思いつつ、じゃあやっぱ京一がヒロイン!? とか腐った思考回路に到着(爆)。
だって最後のカットなんか特に…! 置いて行かれて泣きそうになってるようにしか見えないッ!

龍麻の連続カットや写真のシーンなんかは、他の人差し置いてちゃっかり京一がど真ん中にいるのが!


もうこのOPだけで二、三本は書けますぜ、俺(威張るな)。




龍京以外を語りますと、小薪がやっぱり可愛かったです。
あの差し出した手は、醍醐に向けられたものなのかな。青空バックがよく似合う人だ。

STATUS : Enchanting 1









――――――それきりの関係だと、思っていたのに















【STATUS : Enchanting 1】















さようなら、という葵の声に、おう、とだけ京一は返す。
道が分かれる小薪と醍醐も手短な別れの挨拶を述べ、龍麻はそれらに手を振って応えた。








「さてと………」







ぐっと伸びをして、京一はどうするかな、と呟いた。
それはしっかりと傍らの相棒に聞こえていて、







「帰るんじゃないの?」
「まぁ、そうなんだけどよ」
「―――――ああ、」






濁した返事をした京一に、龍麻はすぐに思い出す。
京一が自分の家に帰らず、歌舞伎町の馴染み人達の所で寝泊りしていることを。


どうするかな、とは、今日は何処に泊まらせて貰うかな、ということだ。
大抵はオカマバーのごっくんクラブに入り浸っているようで、従業員達も京一のことはよくよく歓迎してくれる。
他にもすっかり舎弟(パシリ)になった墨田の四天王の所にも、転がり込む事は多いらしい。
顔が広そうなので、寄る辺にする場所はまだまだあるのだろう。

最近は、一人暮らしの龍麻の所にも泊まりに来るようになった。
それが実はとても嬉しいとは、龍麻は京一には言っていない。



夕暮れ時になって空いた腹を撫でつつ、うーんと京一は考える。






「やっぱクラブに行くか……あそこならタダ飯だし」






京一がいつからあそこに出入りするようになったのか、龍麻は知らない。
それなりに長い付き合いらしいのは気安い雰囲気で感じられるが、過去についての詮索は誰もしない。
だから郷に入りては郷に従え、龍麻も京一の過去を詮索するような事は望まなかった。

居心地が良いのだろうとバーのママは言っていた。
従業員達にもみくちゃにされていた京一は、過度のスキンシップを拒否しつつも、それを嫌いではなかったようで、
ママの言葉は確かに当たっているのだろうな――――と、熱烈な愛に捕まった相棒を眺めながら思ったりもした。


実際、京一が一番よく泊まりに頻度としては、あのクラブが一番確率が高いらしい。
寂れた路地の向こう側にある、小さなオカマバーが京一にとっては今一番の安息の地であった。




――――川横に位置する店を思い出しつつ、感慨耽っていた龍麻を、京一の声が現実に戻す。








「お前もどうだ、龍麻」








耽っていた所為で、その台詞が一体何を示したのか、一瞬理解が遅れた。

が、すぐに立ち直る。
ごっくんクラブに行かないか、と聞いているのだ。








「お前なら、ビッグママも兄さん達も歓迎するだろうしよ」
「うーん…気持ちは嬉しいけど、あの人達に抱き締められると、窒息しそうだよね」
「……まぁな……」







三日ぶりに尋ねただけで、彼―――いや、本人達の希望もあるので、彼女と言おうか。
彼女達は京一の来訪を“久しぶり”“寂しかった”と言い、もう離さないと言わんばかりに熱烈な愛を送った。
見慣れぬ情景に、免疫の無い仲間達一同が若干退いていたのは、まだ記憶に新しい。

ちなみに龍麻は、それらの光景を、いつもと変わりない表情で眺めていた。



龍麻もあまりああいった場所や人々に馴染みはないが、あのクラブの人々が良い人達だというのは判る。
少々アクは強いが―――あの周辺では致し方ないか―――彼女等は本当に京一の事を好いている。


だから龍麻も、彼女達の事はとても気に入っているのだけれど、








「行きたいけど、今日はちょっと……母さんが荷物送ってくれたのが届くから」
「――――そうか。じゃあ仕方ねェな」







ならそちらを優先すべきだと、京一は言った。







「そういや、この間の苺、美味かったな」
「うん。皆も喜んでたね。手紙に書いたら、母さん喜んでたよ」
「そりゃ良かったな」
「うん」










―――――それからは他愛ない、いつも通りの帰路だった。














































龍麻と別れてから、京一の足は真っ直ぐに馴染みのクラブへと向けられた。
道中、好物の中華の匂いがしてちょっと寄るかとも思ったが、結局足の方向は変わらなかった。

自分でも珍しいこともあるもんだなと思う。



原色が明々光る華やかな繁華街を抜け、細い路地に入り、川沿いに出る。
少し辿れば行き着けのクラブの看板が見え、どうやら今日は閑古鳥らしいと遠目に知った。

もともとそれ程客の多い店ではないけれど、常連というのは京一以外にも幾らでもいるのだ。
客の中には京一の顔見知りも多い。
が、今日はそれらの客の気配も無ければ、近頃溜まり場化にしている吾妻橋達の姿も見られない。
一時見掛けていた奇妙な外国人もいなくなって、店にとってはうら寂しい夕刻風景であった。




京一が前に此処に来たのは、四日前のこと。
頼むから今日は(今日“も”か。叶った事はなかったが)あの熱烈な歓迎は止めてくれ、と思いつつ、ドアノブに手をかける。









「うーっす」









ギィ、と錆て軋んだ音を立てて、扉は開かれる。

外観よりもこざっぱりと纏まった内装。
綺麗に整えられたカウンターの向こうにいたビッグママが、京一を認め、








「あぁ、京ちゃん。お帰りなさい」








随分長い付き合いになって、いつから“お帰りなさい”と言われるようになっただろうか。
その言葉に“ただいま”と返すのはまだ気後れして、返事は今日も「おう」だった。


店の中央に鎮座しているソファに座っていた人々も、京一を見つけて喜色満面になった。







「京ちゃん、お久しぶりィ!」
「だから四日ぶりだっつーの」
「寂しかったのよォ〜!」
「ちょっ、キャメロン兄さん! 離せって!!」






体躯の良いキャメロンに抱きつかれ、息苦しさに京一はもがく。
何より、馴染みの人達ではあるが、男―――と口にすると怒るので、言わないが―――に抱き締められる趣味はないのだ。
続け様サヨリにまで抱きつかれて、京一の悲鳴が店内に響く。







「いでででッ! 死ぬ死ぬ! マジで!!」
「アンタ達その辺にしときな。加減も知らないんだから」







助け舟を出したのは、ビッグママである。

はァい、とキャメロンとサヨリはあからさまに残念そうに京一を解放した。
胸板の暑苦しさと圧迫感から解放され、京一はホッとする。


付き合いは長いけれど、この熱烈な歓迎だけはいつまで経っても慣れない。
慣れたくない、という気持ちも本音、十分にある。



京一がソファに眼を移すと、傍観していたアンジがクスリと笑い、






「今日は泊まって行ってくれるのね?」
「ああ」
「じゃ、アタシと一緒に寝ましょうねェ、京ちゃん」
「……謹んで遠慮させて頂くぜ……」







ウィンク付きで投げかけられた台詞に、京一はげんなりとして辞退する。
戯れの言葉である事は互いに判っている、誰も怒りはしない。







「寂しくなったらいつでも言ってよ。アタシ達は京ちゃんなら大歓迎よン」
「……そりゃどうも……」







頼まねェと思うけどな、と呟くと、しっかりそれは聞こえたようで、つれないわァ、とサヨリが身体をくねらせた。

――――――京一が来た日には、毎回始まる遣り取りだ。



一通りの戯れを終えた京一が、アンジの横に腰を下ろした。
横柄に幅を取って座る京一を咎める者は誰もいない。

今日の晩飯は何を食おうか―――とぼんやり天井を煽った丁度その時、カウンター奥の従業員用の扉が開く音がした。
見慣れた面々は皆目の前に揃っているので、誰か新人でも来たのだろうか。
特に気になった訳でもなく、そう思っていると、ビッグママがそうそう、と声をかけた。







「京ちゃん、アナタにお客様よ」
「あ? 客?」






此処に来てまで、今更自分に客がいるのか。
吾妻橋なら一々ビッグママを介す必要はないから、他の誰かだろうか。

一定に定まらない“客”の予想を続けつつ、カウンターへと目を向ける。




――――――と、其処にいたのは、
















「お帰り、京ちゃん」

















控えめな紅梅色の着物に、艶やかな緋色の八掛。
八掛の肩には花か何か(京一にはよく判らなかった)をあしらった模様が一つ。
少し褪せた色の髪に、少し気だるげな垂れ目。

腰には、刀。






拳武十二神将の一人にして、嘗て京一が一度完敗した相手、












――――――八剣右近であった。

















はっはっは。書いちゃった!

八剣→京一でーす。
京一が散々振り回される話になります。


ごっくんクラブの人達の名前は一応チェックしましたが、合ってるのかは微妙(汗)。画質が荒くて……
文字であの人達の口調を表現するのって難しいっスね。

第五話 護る拳






久々龍京――――――!!



前半は龍麻の父の話、後半は壬生の区切り……って感じでしょうか。
合間合間に龍京やら八京やらごっくんクラブの方々やらで萌。






柳生の話の最中、数ヶ月の間、利用されていた事を知った壬生と八剣。
殺す必要のない人達、人々を守ろうとしていた人達までも殺してしまった事を知り、苦悩する二人。
……ゲームの八剣はチンピラだったけど(笑)、アニメの八剣は“粋”なのかね?


場面転換で日常生活、学校風景へ。
まだ人参あてをしようとする犬神先生。アンタ何してんですか……

……アン子の情報は何処から何処まで網羅してるのだろう……苺の種類、値段、ご近所での噂度まで把握。
龍麻のお母さんからの苺を食べたがるアン子を、何故か京一が「ダメだ」と素っ気無く言って振り回す。
…なんで京一がそれを持ってそんな権限持ってるのか不思議でならん……。龍麻があげたのか?
でもって、多分最終的には一個ぐらいあげると思います。
アニメの二人は可愛くて仲が良いので好きです。京一がお兄ちゃんみたいで(笑)。
ごっくんクラブで話聞いて、散々心配しただろうしね、アン子ちゃん。

此処はアン子もいるものの、久々の龍京ショットなのでひっそりニヤニヤ(怪)。
龍麻の様子に気付いてる感じの京一に“愛”!(それはゲームだ)
でもって学ランの下にアンダーの赤シャツのみの京一に萌。ガード緩くなっとる!!(違)


学校の風景と、昨夜の話とを交互に進行。

龍山達も宿星の者達だと知って、驚く小薪達に対し、「鈍い」と言う京一。
京一は弥勒の事も擦れ違っただけで何か感じたようだし、結構鋭いね……やっぱ野生の勘?
一番遅い到着になった京一に小薪が噛み付くも、スルーな京一。
ゲームなら此処で小学生のケンカに発展するんだろうなぁ…アニメの京一はクールです。小薪が一人で空回り。

周りが今後のことで士気を高める中、龍麻は沈黙。空気になってる…
シメは京一が引き継ぎました。
この時、京一が「なぁ?」って言った後、八剣が「お前…」って言うんだけど、ちょっと待て其処にはなんの意味がッ!?
そのまま如月が流しちゃったけど、私は其処を追及したいッ!


龍麻と美里のショットは流し見してます(扱いの差激しいな…)。
放送室の機材の扱いを心得てない犬神先生に笑いました。
マリア先生……其処、第二話での仕返しですか…?

夕焼け背景に話し込むじいちゃん達(館長そんなに年食ってないか)。
壬生がやってきて龍麻との戦闘を望む。
中々融通効かなそうだもんね、しょうがない。やっぱり男は拳で語れ(違うと思う…)。




龍麻のお母さんからの手紙のシーン。
此処の場面ではなかったけど、キャラの過去ショットはいいねv チビ龍麻が可愛いv お父さんとお母さん、いい人だ。

ごっくんクラブの京一のショット。
太刀袋を返して貰ってちょっと安堵した感じが。
アンジ兄さんもかなり大切そうに扱ってて……事情は聞かなくても、大切なものだって知ってるんだなぁ。
ってことは結構長い付き合いなのかな、クラブの人達とは。
横で号泣の吾妻橋、アンタほんとにオイシイな!!

織部姉妹と道心の組み合わせ、結構好きかも知れない。面白かった。
続いて雨紋の方は笑いました。あの子、やっぱり惚れてたか……以前は“殺”だった扇子の文字が“恋”になって…雨紋、ギターの弦があらぬ方向に跳ねちゃったよ。
如月は弥勒と将棋。……アニメの如月は勝てないと思ってるのは俺だけ…?
沙羅とアランは何処でどう絡んでくるのかなー。






マリィがいきなり登場で、おいおい何処で何してた? どうやって帰ってきた? と思うものの、ちょっとホッとした。
龍麻もなんか嬉しそうで。

笑顔で「友達にしてよ」発言……きょとん顔のマリィが可愛いです。
戦闘モードになるとカメレオンみたくなっちゃうけど…普通にしてれば可愛いんだよな、このマリィも。
純粋過ぎて暴走してしまうって感じなのか。

プチパニック状態で「なんで」というマリィに、「僕、嬉しかったんだ。京一がぶつかってきてくれて」


…………「京一が」←此処重要。




「京一が」




おおおおお龍京―――――!!
異なるものを感じて、避けるではなく、真正面からぶつかってきてくれた京一が嬉しかった……
避けられてばかりだった龍麻にとって、理由がなんであれ、こんな京一の存在は何より嬉しかったんだろうなぁ。
それからもずっと一緒で。

いやぁ、今週は龍京フラグ一杯でvv


コロリと龍麻への印象が変わっちゃうマリィにオイオイ……と思いつつも、拾ってくれた柳生にあれだけ傾倒してしまうぐらいだし、手を差し伸べられるっていうのがマリィにとってはやっぱり特別な事なんでしょうね。
柳生は“マスター”であって“友達”じゃないだろうし。畏怖するでもなく、嫌悪するでもなく、“友達に”なんて初めてだっただろうな。
寂しいのに、ずっと一人ぼっちだった子は、やっぱり嬉しいと思うよ、この言葉。

しかしメフィスト(多分…)……これ、ひょっとして式神だったのか?
普通にマリィと仲良くなってて欲しかったんだけど…柳生が拾った時に既にメフィストいたからなぁ…使役してると言っても変じゃないか。




そして表裏バトル再び。
やっぱ、攻撃スタイルが鏡反転したみたいな感じですね。兄弟技みたいなものだし。


壬生が迷っていたのは無理もない事かと。
前回の美里の台詞は、それまでの壬生を全否定したようなもんだしなあ……。
あの台詞には「いや、そんなお綺麗なもんじゃないよ、世界って」と私は捻くれてるので、どうもあれは好きではないです。
美里の性質としては、そういう事に行き着くのは判るんですが。


壬生は考える時間が必要ということで、拳武館は一時閉鎖、修行に出ることに。
……最終戦までには帰ってきてくれい!




でもって比良坂の時に続き、なんでかしら、またいる京一(笑。そして愛!)。
ホントどーやって……いや、今回は表裏バトルやってたから、気付けると言ったら気付けるか。
でもなんで木の上?(←京一ですから。)

心配を心配と言わない、でも一緒にいてくれる相棒は、アニメの龍麻にとって大きな存在だったのね。
でもって何があったか聞く事もなく、いつも通りに「ラーメン食いに行こうぜ」。

ビバ! 龍京!!(台無し)





最後の醍醐が切なかったです。あっちもこっちも、簡単には斬り捨てられない。
まして変生の暴走とはいえ、醍醐自らが殺してしまったようなもので……ゲームの醍醐も複雑だが、アニメの醍醐も複雑だ…

付き添っている(醍醐に言わずにいるのかな?)小薪、健気で好きです。
この事件は彼女にとっても辛いだろうなぁ……自分が無茶した所為で、とか思ってそうです。








以下、京一妄想。





八剣の「京ちゃん」呼びにはびっくりしたー……!
お前、前回「京一」って呼んでなかったか!? いつの間にそんな……
京一も京一で「京ちゃん言うな」可愛いッ! これもう条件反射なんだろうな……

やっぱり京一は危険な人に好かれるっぽい。


コニーさんとごっくんクラブの人達と、これで八剣にまで「京ちゃん」呼び。
“歌舞伎町の用心棒”とか言われてるけど、すんげー愛されてる感じがする。

吾妻橋(墨田の四天王)からはアニキ呼びで、一話で死んじゃったけどヤン師父もアニキ呼び。
この分だと、もっと知り合いいそうだな。
年下やケンカで知り合った連中からは「アニキ」で、用心棒稼業(稼業!?)とか、世話になってる人達からは「京ちゃん」って呼ばれてんのかね。

ゲームでも京一はアニキ肌振りたいとこあるようなので、アニキ呼びは嬉しいのかも。
「京ちゃん」は恥ずかしいのね。まー高校三年生にもなった男子が「ちゃん」付けは…
龍麻も知られた時は恥ずかしがってたもんなー。



ごっくんクラブに顔出した時は、きっと京一もみくちゃにされたと思います。
だって三日ぶりに顔出しただけであれだけ愛されてた(?)んだもの!
吾妻橋の話聞いて、大事な太刀袋置いていなくなって、心配しなかった訳ないじゃない!
ハグとかしたんだろうな、絶対……アンジ兄さんとキャメロン兄さんのハグは死にそうだ……

後日、ごっくんクラブにひょっこり八剣が現れるとか、ないですかね??



あと、髪下ろした形になってから、京一随分落ち着いたねぇ。
もう髪型はこれで固定?
逆立ち具合は京一のツンツン具合を示してたのか?(ツンツン具合て何)
おまけに色っぽさ増して来たような気がしますよ!



今週は龍京一杯で満足v
並んでるシーンは、学校とラストだけですが、今まで離れ離れだった事を思えば十分です。

合間に龍→京な台詞が聞けたしねv

It is great, and it foolish father 後編






その時、聞こえた叫び声が、京一の思考を強制的に中断させた。




祭りの中に騒ぎはつきものと言えど、その叫び声は尋常ではなかった。
声が聞こえた方向を探してみると、父が消えていった方向にある。

食べかけのポップコーンを放り投げて、京一は走った。
ざわざわと壁になっている人垣を掻き分けて、ぎゅうぎゅうの隙間を無理矢理開けて、身体を押し通す。
何度か文句を言われたし、足を踏まれたし、踏んだし、散々だったけれど、京一は前に進んだ。


人ごみをどうにか潜り抜けて、路に出た時、大柄な男に邪魔だと突き飛ばされた。
派手な柄のシャツを着て、煤けたズボンに、雪駄を履いた二人組みは、慌てた声を上げて走っていった。

―――――京一は、それを見送る暇はなかった。






ざわざわと人が作った壁の内側で、倒れていたのは、父親だった。








―――――父ちゃん







そう父を呼んだのは、随分久しぶりだったかも知れない。
稽古の最中に呼ぶなんて持っての外で、最近は日常の中でさえそう呼ぶ事はなくなっていた。

けれど、久しぶりに呼ぶのがこんな場面だなんて、思ってもいなかった。








父ちゃん、父ちゃん








地面に伏した父の顔は、苦悶に歪み。
脇腹からは夥しい鮮血が流れ、地面に水溜りを作っていた。
よく似合っていた着流しも赤黒くなり、酷く気持ちの悪い色になっている。

京一は怪我をするのは日常茶飯事だったが、こんなに沢山の血を見た事はなかった。
それこそ漫画やアニメの中の世界の話で、現実、目の前にそんな事が起きるなんて。









父ちゃ……――――――









伏した父の傍らに縋り付いて、そのがっしりとした体躯を揺さぶる。
ぬるりとした生温かい液体が、小さな手に付着した。
それでも構わず揺さぶって、声が帰ってくることだけ願った。

けれど、子供の願いは叶わなかった。


周囲の人垣はざわつくばかりで、誰も近付こうとしない。
賑やかな祭りの中で起きた悲惨な光景に、如何して良いのか判らないのだろう。






まだ、体温は温かいのに。
触れた身体は酷く冷たくて、動かない。

撫でてくれた、手のひらも。


何故、どうして、父親がこんな事になっているのか。
京一にとって過程は最早どうでもよくて、ただ、目の前の現実だけが存在していた。






涙が零れなかった理由は判らない。
泣くのがみっともないと思ったからじゃない。
そう思う事さえ、その時は出来なかった。
その後も、なかった。






自分を突き飛ばした二人の男を思い出す。
慌てた声を上げて、逃げるように走って行った二人組。









「ごめんなさい…! ごめんなさい…っ!」








女性が一人、泣いていた。
細い手首に痣が残っている。



父は、ヤクザ者の抗争だとかによく首を突っ込んでいた。
別に何処に味方しているとか言うのではなく、一般人が巻き込まれるのを良しとしなかった。
京一には、単に危ないことを好んでいるようにしか見えなかったけれど。

私の所為でお父さんが、と泣く女性の言葉は、聞こえなかった。
それでも頭の中は働き始め、奴等に絡まれた彼女を助ける為に、父が。
腰に差していた木刀を握った右手が、雄弁に語る。









なんでこんな事にならなきゃいけない?
なんでこの人が泣かなきゃいけない?

なんで父ちゃんが。








――――――悪いのは、あいつ等じゃないか。














それからの行動は、理性なんてものとは程遠く。
力を失った父の手から、木刀を取り上げた。

柄に埋め込まれた飾り尾が音を立てた。
仏教に信心がある訳でもないのに、どうしてそんなものを付けているのか不思議だった。
今でも不思議だ、でももう理由を知る事はきっとないだろう。
だって、父は。



もう。












大嫌いな、父親。

憧れていた、父親。




なんで、こんな。





誰が、こんな。














木刀だけを手に、走り出した。
祭りに来た人々が止めようと手を伸ばしたけれど、振り払って。
夜の街に解けて消えた、奴等を追って。






父ちゃんがいて。
母ちゃんがいて。
姉ちゃんがいて。

それが、京一の傍にある筈のもので。


父ちゃんに散々扱かれて。
母ちゃんに手当てして貰って。
姉ちゃんに揶揄われて。

それが、毎日の風景である筈のもので。



それが、続くものだと、思って。





母は父の事を愛していて、姉も父の事が好きだった。
京一は父が嫌いだったけれど、憧れで。

―――――――奪われていいものなんかじゃなくて。










大嫌いだった。
大嫌いだった。

だけど。




あの人は、家族にとって、大切な人で。









誰にも奪っていい権利なんて、ある筈なくて。

















――――――――――赦さねぇ














父がいなくなって。

母はこれからどうすればいい?
姉はどんな顔をする?


オレは、長男だから。
守らなきゃいけない。
強くならなきゃいけない。

父ちゃんの、代わりに。
父ちゃんを殺したような、悪い奴等から。



だけど、そんな事をしても、父はきっと戻って来ない。
どんなに強くなっても、どんなに守ってみせても、頭を撫でる手は、ない。
















―――――――――オレが、赦さねぇ……!!
















母から、姉から、父を奪った奴等を赦さない。
傷付かなくていい人達を傷付けた奴等を赦さない。



父はもう動かない。
もう剣術を教えてくれない。
もう難しい話をしない。

もう、頭を撫でてくれない。


母にありきたりな台詞で愛を囁くこともしない。
姉にワガママに振り回されて、仕方ないなと折れることもない。




だって、もう。



















祭囃子が遠い。
提灯の灯火が見えない。







幼い頃に、


暗がりの中で、ぶっきら棒に道を教えてくれた、大嫌いで、憧れの、手は、






――――――――――もう、
















































「きょーいち」













聞こえた呼ぶ声に、瞼を上げた。


眠ってはいなかった。
けれども、動くのが面倒で、声の方向を見ようともしなかった。

そうしていると相手の方が動く気配がして、程無くして、声の主は京一の視界にひょいと入り込んできた。




いつも京一が昼寝をしている木の上。
特等席だか指定席だか、とにかく京一は今日も其処にいた。

そして相棒のような親友のような、不思議と馴染んだ間柄になった転校生も、最近は其処によく現れるようになった。







「京一、今日は眠そうだね」







幹に寄りかかった京一を見ながら、龍麻は枝に腰掛けて言う。
京一は返事をせず、また瞼を閉じた。







「寝るの? 京一」
「……寝ねェよ」
「そう。珍しいね」






此処にくると、京一は大抵寝ていた。
足の下に人が来ると、気配に敏感で目覚めるけれど、やっぱりまた眠る。

夏休みを終えても、まだ太陽の日差しは強く、屋上では暑いばかり。
此処ならば適度な木陰に適度な風、昼寝をするにはもってこいだ。
だから、誰の邪魔も望まぬ時、京一は大抵此処に来た。
―――――そうして、それを判っていて龍麻も此処へやってくる。



龍麻はじっと京一を見ていた。
京一もその視線を感じていた。
眠らない理由を龍麻は問わなかったし、京一も言おうとは思わない。

二人で、ただ其処にいた。


時刻は昼前、まだ授業中だった。
京一がサボりを誘った訳でもないのに、龍麻が自主休講を取るのは珍しい。
授業に出ていてもぼんやりしていて寝ている事が多いけれど、一応、出席だけは取るのだ。
何故か京一がサボタージュの誘いをかけると、断わる事をしないが。

今のこの時間の授業は、確か生物だった。
また犬神に目ェつけられるな……と思いつつ、京一は溜め息を飲み込んだ。





黙したまま動かぬ京一を、龍麻がぐっと身体を伸ばして顔を覗き込む。








「京一」







呼ばれて、片目だけ開けてみた。
近い距離に龍麻の顔がある。
判っていたから、驚かなかった。









「今日は、なんだかいつもと違うね」
「いつも通りだろ」
「そうだね」








違うと言う言葉を否定すると、龍麻はそれに頷いた。
……よく判らない。



見上げてくる瞳は、何処までも澄んでいて透き通って見える。
其処に映った自分の顔を見たくなくて、京一はまた目を閉じた。


瞼の裏側を見ている眼球が映し出しているのは、暗闇ではなかった。
木漏れ日の隙間から零れた陽光が、丁度眼球の上に落ちてきている。
薄い皮膚膜の中にある血管が透けて見えて、視界は黒ではなく、赤で一杯になった。

いつの間にか、見慣れてしまった色だった。
あの日を境に、あの瞬間から、いつの間にか。









「京一」








呼ばれた後、何かが頬に触れた。
温かい体温と、それを覆う薄手の布と。
ああ龍麻の手か、と気付いた。

その後で、思い出す。
幼いあの日、くしゃくしゃに髪を掻き乱した大きな手を。


だらりと垂らしていた左手を上げて、龍麻のその手を振り払った。







「オレぁガキじゃねぇよ」
「うん。でも、したくなったから」
「なんだそりゃ」
「したかったから、僕が。京一の頭、撫でたいって」







また龍麻の手が伸びて、もう一度振り払おうかと思ったが、結局やめた。
やればやった分だけ、龍麻は繰り返し撫でようとするだろう。
一々払う動作をするのが面倒臭くなって、京一は龍麻の好きにさせる事にした。



触れる手は、少しだけ硬かった。
拳で戦う者の手。
少しだけ、それが父の手を思い起こさせた。

記憶の中の自分は小さかったから、その手はとても大きく思えた。
今の自分と、あの頃の父と、どちらの手が大きいのか、確かめることは出来ない。
だから京一の中で、あの手はいつまでも大きいままだった。
だってあの日、父の時間は止まったのだから。








(――――そういえば、)








くしゃくしゃ撫でる手は止まりそうにない。
閉じた瞼の裏側は、まだ赤かった。








(……思い出したのは、久しぶりかも知れねえな)







誰かの手を、父の手と重ねて思うこともなかった。
決して忘れてはいないつもりだったけれど、思い出すことは少なくなっていた。


嘗ては憑り付かれた様に、あの瞬間の映像を繰り返し繰り返し思い出していたのに。
その度に渦巻く感情は更に荒れて、ただ我武者羅に強さを求めて、剣を振った。
無意味であろう争いも繰り返し、気に入らない人間を打ちのめした時、ほんの少しだけスッキリした気がした。
けれども次の瞬間には巻き戻しをしたかのように同じ映像が脳裏に蘇り、腸が煮えくり返る。
―――――そんな、繰り返し。

今は何処にいるのかも知らぬ師に出会い。
同じく荒んでいた醍醐に出会い。
この学校に入学して、二年と少し。

求めていた強さには足りない、けれども前ほど焦がれることはなくなった。



最後の最後、ケンカ別れの時に言われた師の言葉の意味は、まだ判らない。
父がいつもいつも腰に木刀を下げていた意味も、まだ判らない。

判らない、けれど。






優しい思い出だけに逃げていたら、忘れた事も出来たのかも知れない、けれど。

母のように、姉のように、優しい夫を、父を求めていたら。
悲しみに嘆いて泣いた後、柔らかな思い出を柔らかな絹に包むことが出来たのかも知れないけど。











(…今頃になって夢に出るなんざ。忘れるなって言いたいのか?)











思い出さなくなっていたのは、思い出す暇がなくなっていたから。
過去の緋色よりも、目の前の透明な光に目を奪われるようになったから。



右手の中、紫色の太刀袋の中の木刀を、強く握り締める。
ぎりりと音がしたような気がした。

一瞬、龍麻の手が止まる。
しかしすぐに動きは再開された。
何事もなかったかのように、その手は京一の頭を撫でる。





―――――誰かに頭を撫でられたのは、どれくらいぶりだろう。








最後に、頭を撫でたのは、














(…………安心しろよ)















優しい母でもなく、
強気な姉でもなく、

今目の前で撫でている、相棒でもなく。




大嫌いな、父親で、


















(アンタの事は、ずっとずっと、大嫌いだから)


















家族を置いて逝ってしまった、

最後までよく判らないままだった、




それでも強かった、








――――――――大嫌いで、憧れの、父親。





















憎むほどに嫌いであれば、


あんたの存在が薄れることはないからさ。
























二幕第三話の、京一の幼少期のシーンから捏造妄想勢い執筆。
木刀がどうも形見っぽかったので、其処から発展させました。

父ちゃん大好きっ子でも良かったんですが、やっぱりツンデレにしてみました。
なんだかんだ言って、父ちゃんの事は好きなんです。嫌いで、憧れで、好き。複雑。
そして忘れない為に、薄れない為に、嫌いと言い続けるのです。
淡い優しい感情よりも、刻むような憎悪の方が頭に残るから。


なんで京ちゃんは家に帰らないんだろう。
でもって、いつから帰っていないのか。

京一の家族についてはやってくれないんだろうか……