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見送ろう。
過ぎ行く影を見送ろう。
志半ばに消える灯と、その灯の影を見送ろう。
誰も見送らないのなら、その存在を知る者だけで見送ろう。
涙でもいい、笑顔でもいい、見送ろう。
見送らなければ、影は存在していなかった事になる。
嘘が真に、真が嘘になってしまう。
その灯と、その影が、どんな形と色をしていたか、知っているのはほんの僅かな者だけだ。
後は噂が一人歩き、灯も影も形を変えて色を変え、本来の形と色を見失う。
だから、その前に見送ろう。
影がぼやけてしまう前に、見送ろう。
そのままの形で、空に溶けて行けるように、見送ろう。
見送る影は、人が思うよりも余りに多く。
見送る人は、影よりもずっと少なくて。
だから、存在を知る者だけで見送ろう。
その方が混じりけのない形と色のままで見送れる。
真実の灯と影の形と色で見送れる。
見つめ送る人の中、二人の子供が泣けずに空を見ていた。
ともすれば、見送る影になる筈だった二人の子供。
見送る影に置いていかれた、二人の子供。
誰よりも何よりも、真実を知る、見送る二人の子供達。
見送るぐらいだったら、ついて行きたかったのに。
あの人が駄目だと言ったから、子供二人は置いて行かれた。
置いて行かれたその意味を、今はまだ知らぬまま、二人は溶ける影を見つめて空を仰ぐ。
見送ろう。
今はただ、見送ろう。
過ぎ行く影を、見送ろう。
いつかもう一度、空から大地に降りる事を赦された時、そのままの形と色でいられるように。
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またまたインスピレーション優先です……
懐かしいですね、“影送り”。
この単語を聞いたのは小学生の国語の授業以来です。