例えば過ぎる時間をただ一時でも止められたら。 忍者ブログ
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龍京 06





知らなくて良いと思う、理解されなくて良いと思う。
けれど、彼が自分から離れて行くのは嫌だ。




畳に押し付けた親友に覆い被さり、龍麻は彼の喉に舌を這わした。


動物の生命保護の本能からだろう。
其処を食い破られるのではないかと言う強迫観念に囚われた京一の躯は、緊張で強張っていた。
それを解そうという気持ちは微塵も浮かぶことなく、龍麻はそんな京一の反応を楽しみながら、首を繰り返し刺激した。

筋肉の緊張が感覚を更に鋭敏に尖らせているのが、京一を苦しめている。
その様を見るのが、龍麻は心地良くて仕方がない。






「う、あ…ッ……」






龍麻の家に来ると同時に脱いだ彼の制服は、部屋の隅で固まりになっている。
木刀も同じ所にあって、これが彼にとっては最大の失敗であり、龍麻には最高の好機だった。

インナーをたくしあげれば、剣術で鍛えられた胸板が露になる。
しかし日頃の不摂生な生活の所為だろうか、武道家にしては全体的に細い印象があった。
その肢体が淫靡に揺れて疼く様を想像するだけで、龍麻は下半身に血が集まって来る。


見上げる京一の瞳には、常の強気な光はない。
戸惑いの色が殆どを占めた瞳は、しかし己を支配する少年を拒絶しようともしなかった。
相手が親友だから、何処かでこれは冗談だと言って欲しいから。

其処に付け込んでいる自覚はあって、龍麻はそんな己を最低と詰りながら、後悔してはいない。






「…ん、ん、…ん……」






曝け出された肌の上で、ゆっくりと手を滑らせる。
遅すぎるとも言って良いその愛撫に、京一は身悶えるように頭を振った。


心臓の上に手を置くと、やけに早鐘を打っている事に気付く。
黙したままで京一の顔を見てみれば、彼は仰け反り、ぎりぎりと歯を食いしばっていた。
まるで何かに耐えようとしているようだ。

龍麻はクスリと薄い笑みを浮かべ、彼の胸の頂に爪を立てた。







「どうしたの? 京一」
「……ッあ……!」






ビクリと背を反らせ、京一は目を見開いた。
龍麻はの反応に気を良くし、続けて頂きを摘み、転がし、刺激を与える。
都度に京一はビクビクと躯を揺らし、血が出るのではと思うほどに強く畳に爪を立てた。


龍麻は口を開けて、京一の喉に食らいついた。
歯こそ立ててはいないが、口の筋肉を動かし、食むかのように唇を動かす。

緩い刺激だ、あるのは吐息と時折当たる舌の感触だけ。
だと言うのに京一の躯はビクッビクッと反応し、龍麻の目を楽しませる。


極度の緊張が続いた所為だろう、滲み始めた汗の味に、龍麻は喉から離れると、はくはくと口を開閉させる親友を見下ろし、






「っは、…あッ……はぁ、あ…ッ」
「汗かいてるね。ちょっとしょっぱいよ」
「…ふ、あ……あぁ……!」






舌先を尖らせて、また喉に頭を寄せた。
舌の先端で喉仏を舐めると、京一は差し出す事になる事さえ忘れて、喉を反らして喘ぐ。



龍麻は、京一の胸に置いていた右手をゆっくりと下降させて行った。
ゆっくりと、ゆっくりと。
京一が、龍麻の手の形と場所をはっきりと理解できるように、ゆっくりと。

京一は嫌だと子供が駄々を捏ねるように首を横に振ったが、龍麻は止まらなかった。
布を押し上げてテントを張り始めた下肢へと、更に近付いて行く。




京一は、龍麻に対して甘い。
それは葵や小蒔、醍醐達とは別の意味で甘かった。

彼女達は龍麻の優しさや真っ直ぐさ、暖かさで荒んだ気持ちさえ解される。
もう、仕方ないわね、と言う意味で甘いのだ。
龍麻がそうするのなら自分も協力しようと、仲間同士の気安さが其処にはあった。


だが、京一は彼女達とは違う。


龍麻は京一には隠し事をする気はないし、少し意地の悪い自分を見せる事もあった。
それは小さな子供が好きな子に意地悪をするのと同じような感覚に似ている。

京一も、龍麻の仲間達と自分への接し方に微妙な差異がある事には気付いているだろう。
だが直せとも言って来ないし、止めろとも言わないから、彼は龍麻の行動を全て受け入れてくれていた。
仲間とか、仕方がないとか、そういう事ではなく、赦してしまっているのだ――――龍麻の全てを。
それが危険な趣向を持つものであるとしても。



だからこんな行為も受け入れる。

本音は拒絶したくても、一度許してしまったから。
例えそれが、強姦めいた行為であっても。






「あ、あ…! あぁあ……!」






スラックスの前を開き、下着の下へと手を潜らせる。
完全ではなくとも、其処は既に起き上がりつつあった。

京一は首を振って拒絶を示したが、龍麻は構わず刺激を与える。






「龍麻、あ、龍麻ぁあッ……や、め…あ、うぁあ…」






直接与えられた強い刺激に、京一は弱々しい声を上げて龍麻にしがみ付いた。

そうやって縋って来るのが堪らない。
いつも誰にも寄り掛かろうとしない彼が、こうして自分に縋り、懇願してくるのが。






「っは、あッ、あぁ…ッ!」






熱を煽り、追い立てられた京一は、淫靡に腰をくねらせる。
逃れようとしているのか、誘っているのか。
前者である事は確かだ、龍麻には後者にしか見えなかった。

京一の瞳が泣き出しそうに揺れる度、血が固まって行く。
知らず知らず、興奮によって龍麻の息も上がっていった。



このまま、彼の全てを喰らい尽くしてしまいたい。
でも、それじゃ詰まらない。

喰ってしまったら一回きりだ。
次はない。
彼の代わりはいないから、それは駄目だ。


長く、永く、いっそ永遠に。
彼が離れてしまう事のないように、この快楽で繋ぎ止めよう。
彼の思考回路をドロドロに溶かして壊して、この快楽なしではいられない躯にして。

だから龍麻は、彼の拒絶を、拒絶する。
彼が縋り懇願する様が、嬉しくて仕方がない。






「も…や、め……龍麻…あ、あ…あああ……!…」






高まる欲望に耐え切れず、京一はビクン、ビクン、と痙攣して果てる。

吐き出された熱は龍麻の手を汚す。
そのまま、龍麻は秘める場所へと指を伸ばして行った。


鬼と対峙した時、街のチンピラにケンカを売られた時、勇ましく激しく吠える喉。
今はそれとは似ても似つかぬ甘く悩ましい声を上げる其処に、龍麻はまた舌を這わせた。








嫌なら力で拒絶すればいい。
彼にはそれが出来る筈だ。

嫌ならもう近付いてこなければいい。
逃がすつもりはないけれど。



本気で拒絶をしないなら、
本気で逃げるつもりもないのなら、

――――――このまま、同じ場所まで堕ちて来て。





そしたら、一生かけて全部食べ尽くしてあげるから。










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ヤンデレ龍麻。
こうなると破滅しかないなぁ……でも書いてて楽しかったって言う(爆)。

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