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何処が良いのかと言われると、正直言うとよく判らなかったりする。
それは“なんとなく”と言う意味ではなく、示す答えが多すぎて、絞れないのだ。
強さに惚れた。
これは確かだ。
仮にも自分達は“墨田の四天王”であり、そこそこ名も有名で、強さも自慢できたと思う。
名を聞いただけで恐れ戦く連中もいた訳だから、決して伊達ではなかったのだ。
しかし、あの人はその上を行く。
先ず複数対一と言う状況に躊躇いもしなければ、遠慮なく相手を叩き伏す実力がある。
吾妻橋達に至っては、まるで本気で相手にして貰えた事がない。
彼が愛用の木刀を使って自分の相手をした記憶は、終ぞ吾妻橋の中に見当たらなかった。
それは少々悲しかったりするのだが、つまり、彼はそれ程に実力を持っているのである。
容姿に惚れた。
…変な意味ではない。
勝負以前に相手を射抜く、鋭い眼光。
自分の優位を揺るがせない、絶対の自信を浮かべた笑み。
歌舞伎町内でもそこそこ美形だと言われている。
その整った面立ちは、時に冷たい光を帯びたようにひたりと動かなくなったり、時に子供のように崩れたりする。
学友と過ごす時にはふざけあったり、『女優』で過ごす時には偶に赤くなったり。
最初は吾妻橋を莫迦にしていただけだった顔は、次第にその波紋に浸るようになった。
初めて笑いかけられた時などは、口から心臓が飛び出るなじゃにかと思った程である。
性格に惚れた。
これも間違いない。
ぶっきら棒な顔をして、何事にもシビアな意見を持つのに、その内心は情に厚い。
人を突き放すのは素直でない優しさの裏返し、“足手まとい”は“巻き込みたくない”に近い。
恨まれるのを承知の言葉選びは、相手を気遣わせない為。
友人知人が危険な目に遭っていると聞けば、何処にいようと探し出す。
相棒がいなくなった時にも、彼は吾妻橋を引っ張り出して、遠い場所まで探しに赴いて見つけ出した。
吾妻橋達がチンピラに囲まれている時も、何処からか現れてはそれらを蹴散らして。
礼を言えば、赤い顔を隠して、なんでもない事だと言うのだ。
ラーメン一杯でチャラな、と笑って。
ざっと上げてみたが、この中のどれが一番割合を占めているのかなんて判らない。
吾妻橋にとっては全てが魅力的であり、惹かれて已まないものだ。
どれかに絞って、明確な答えを出せというのが甚だ無理な話だった。
ああ、でも。
あの声が一番、好きなのかも知れない。
どんな異形を前にしても、躊躇わずに響くあの声が。
「―――――――行くぜ、吾妻橋!」
だから、例えあの人が何処に行こうと、其処に何があろうと、
一生、この人について行こうと決めたのだ。
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京ちゃんのあの台詞が大好きです。
ゲームでもアニメでも、外法でも、言われるとやる気が出ます。
アニメ終局戦前に毎回言ってくれたのが凄い嬉しかった。
吾妻橋達は、どっちかって言うと「行くぜ!」より「もっと飛ばせ!」とかの方が言われてますね。