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月曜日の朝、というのは、どうにもテンションが下がってしまうものらしい。
休日と言う甘美な蜜を存分に楽しんだ後は、辛酸が待っているものだ。
京一は判り易く、面倒臭いという表情を隠しもせず、盛大な欠伸を漏らした。
なんとなくそれにつられて、龍麻も常ならば中々見せないだろう大欠伸をする。
朝8時前の通学路で男子生徒が二人、並んで欠伸。
間抜けな光景であった。
「……あー眠ィ……」
欠伸に続いて、ついでとばかりに京一が呟いた。
昨日は京一は吾妻橋達と一緒にいて、殆ど眠っていない。
一晩中歌舞伎町のあちこちを練り歩き、用心棒としてケンカをしたり、路地の裏で酒を飲んだりしていた。
飲んだアルコールは既に抜けたと思っていたのだが、頭がぐらぐらするのは気の所為か。
健全な学生の日常とは遠くかけ離れた京一の私生活。
龍麻はいつもの事(眠いという言葉も比較的頻繁に聞く)なので、クスリと小さく笑みを漏らす。
「京一、先週も同じ事言ってたよ」
「あん? そうかァ…?」
欠伸によって浮かんだ、目尻の涙を拭うのも面倒臭いのだろう。
京一は殆ど空っぽの鞄を振って弄びながら、ンな事は忘れたなァと続けた。
「先週の事なんざ覚えてられっかよ」
「水曜日に、犬神先生から朝一番に課題提出を急かされた事は?」
「思い出させんな、馬鹿野郎」
苦い顔をして、京一は龍麻を睨む。
鋭い目付きであるそれを、龍麻は特に意に介す事はせず、
「今日はマリア先生の課題の提出だよ。終わってる?」
「当たり前でェ。何度も何度も補習させられて堪るかよ」
自慢げに言う京一だが、ごく普通のことなんだけどなぁと龍麻は心中のみで呟いた。
それにしても、マリアの英語や他の教科の課題は、面倒臭がりながらもきちんと片付けるのに、
何故犬神の生物の課題だけはちっとも手をつけようとしないのだろうか。
訊ねた所で、龍麻はなんとなく、京一の答えが想像できた。
あんな奴の言う事を聞くなんて癪に障る、とか、そういう事だろう。
……最終的には結局片付けなければならない羽目になるのだから、最初にやっつけてしまえば良いのに。
京一がもう一つ、盛大に欠伸を漏らす。
「ったく、ただでさえ月曜は気が滅入るんだから、朝から課題の話なんかすんじゃねーよ」
月曜じゃなくても、平日の朝はいつだって面倒臭そうな顔で登校するくせに。
殊更月曜日が重要そうな京一の言葉に、龍麻は笑った。
「そうだね。じゃ、この話は終わり」
「おう。話題変えろ」
「じゃあ、来週の試験の事だけど」
ぱこん、と空の指定鞄が龍麻の頭を叩いた。
月曜日が憂鬱だと、後に控える平日4日間が面倒臭い。
始まりのテンションって重要なんだと思います。
京一は何時ぐらいに登校してんだろう……
アニメ一幕二話では、一般生徒の登校時間、既に木の上に……早ッ!(剣道部に顔出した?)